フェアリーサイン


「…………ハッ!」


鳴らしたじゃん! て言うか今の今までずっと証拠品(鈴)持ってるし。






「あっ、この鈴だよ! 持ってるって事はやっぱり鳴らしたんじゃん」





そいつはあたしが持ってる鈴を指差して笑った。





無邪気に足をプラプラさせ、人懐こい笑顔を浮かべてるけど、待って! この生き物はなに?




「……鳴らしたけどそれが何よ? そもそも、あんた何者よ?」



なんか、文句ある? とそいつを睨み付け腕を組んで、開き直った態度で問いただす。
ここは、強気で。あたしは悪い事してないんだから。





「うん? 別に、文句はないよ。そっか、そっか」





やたらと嬉しそうに話すそれに、不信感と言うか疑問と言うか、何とも言えない感情が沸き上がった。


そいつは、やたら満面の笑みを浮かべてまた羽根を羽ばたかせてあたしの周りをうろちょろ飛び回る。





「あ、自己紹介が遅れたね。ぼくはその鈴の妖精です」




黒い服をヒラヒラさせながら、軽やかに飛び回るそれ。






「ハァ……? よ、妖精……?」





その発言にあたしは、立ち眩みがした。




ちょっと、勘弁してよ。



中3にもなって妖精だの、なんだの信じる寒い女は、マジ引かれるつぅーの。


あたしは、腐人(ふじん)であって、腐女子ではないんだよ。そういう、二次元なトークには、興味ないの。



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