フェアリーサイン
「プッ……!」


ギュウッと目を閉じると、笑いを必死で堪えるような吹き出す音が聞こえる。



ゆっくり瞳を開けると、そこには涙を溜めて、肩を揺らし笑いを必死で溜めているヤツの姿が視界に映る。



「ダセー!! これくらいで顔、真っ赤」


お腹を抱えて大爆笑するそれに、カチンときた。



「意外と純情なんだね

―――プシュウウッッ! 

そう言い掛けたヤツにあたしは廊下の隅に置いてあった殺虫剤をヤツに噴射した。


 

今すぐ、逝ってよし!

そう思いながら、ヤツに殺虫剤を振り掛ける。





「これくらい掛ければ、もぅ、死んだっしょ?」





殺虫剤一本使いきってしまうくらいヤツに振り掛けてやった。



辺り一面霧に包まれているみたいに殺虫剤がモクモクと広がる。





「それが、死なないんだよね~」


あたしの背後から声がした。慌てて、振り向くと平然とした様子のヤツが宙を浮いている。



なぜ、死なない?





「無駄だから止めなよ。
それに、妖精殺しは罪深いよ。まっ、そういうのじゃ死なないけど」





スカした態度で話すそいつが気に食わない。


うん、あたしこいつと相性悪いね。絶対合わないって言い切れる。

< 18 / 120 >

この作品をシェア

pagetop