フェアリーサイン
てか、そんなのどうでもいいや。早く帰りたい。
「あ、そう……。で? 本題って何? さっさと話してくれない?」
あたしは、あからさまにダルいってオーラを醸し出してヤツに問いかけた。
早く帰りたいから用件だけ聞いて、済まそう。
あたしは、自分の髪の毛をいじりながらヤツが話しだすのを待った。
「あ、そうだった。本題だね!」
ヤツは、今思い出した様な表情を浮かべて、またふわっと飛び回る。
「まず、先にお礼を言わせて。ありがとう、えーっと……?」
「……莉音(りお)市川(いちかわ)莉音(りお)」
何のお礼なのか、分からないけどすごく嬉しそうな表情で話すヤツを見てたら、名前くらい教えてもいいか。って気になった。
「そっか、莉音ありがとう」
ニコッと笑うヤツを見て、なんか複雑な気持ちになった。
あたしは、ただ鈴を鳴らしただけなのに……。
なんかまるで、魔法のランプを擦った主人公の気分。