フェアリーサイン
この言葉にゾクッと鳥肌がたった。
「ま、まさかぁ~、あたしが後悔? そんなキャラじゃないし」
あたしは、いつもこうやって自分の気持ちをごまかす。
バカみたいにヘラヘラ笑って、大袈裟に明るく振る舞って、このキャラを演じ切る。
あたしにとって、学校はそういう場所なの。自分の気持ちを封じて生きる場所。
すごく息苦しいよ……。
「あ、でも、後悔してるかも。さっき磯野さんに触れちゃったんだよね」
そう自分の両手を広げて、まるで、泥でも付いてるように汚いとアピールする。
「ええい、カバンで拭こう!」
そう冗談ぽい口調でカナのカバンで手を拭く。
「やだ、サイアク!」
カナは本気で嫌がっていたが、冗談ぽく振る舞えば、全部が冗談に見える。
ミカとサヤもあたしのテンションに便乗して悪ふざけする。
バカみたいにヘラヘラ笑ってるけど、あたしはかなり姫梨ちゃんの様子を伺っていた。
「……………次もよろしく」
そう小さい声で耳打ちすると、姫梨ちゃんは颯爽と歩きだした。