フェアリーサイン
「ねぇ……もぅ、帰ってくれない? 充分、外の世界見たでしょ?」
余裕がないと、あたしは口調が冷たくなるみたい。
「うーん、オレも帰りたいけど眠くならないんだよね」
「はぁ……?」
あたしは、眉をひそめて顔をあげる。
「前、話したと思うけど、オレ、眠くなるまで時間が掛かるの。だから、眠くなるまで人間界を見て回ろうと思ってたけど、スッゲーつまんないしサイアクだよね」
ヤツは、頭の後ろで手を組んで愚痴っぽく話す。
「それもこれも、誰かさんが鈴を鳴らすからさぁ~」
すごくイライラした。
あたしだって、別にこんなの好き好んで起こしたワケじゃないのに……。
「………れば、いいの?」
「何~?」
ヤツは耳に手を当てて、あたしの口元に近寄ってきた。
あたしはさっきよりに大きい声で聞き返した。