フェアリーサイン
ボロボロの教科書。
そこには、赤いペンで“死ね”“ウザイ”って書いてあった。
「なぁ、あの女の本きったねぇーなぁ」
ヤツがあたしに同意を求める様に言ってきた。
「………………」
今の状況でヤツに返事なんか出来ない。いくらヤツの声も姿も他の人には、見えなくても、あたしの声はみんなに聞こえちゃうんだから。
あたしは、聞こえない振りをして黒板に書かれている文字をノートに書き取る。
性悪説……。と黒い水性ペンで書いて、手を止めた。
今日の一限目は、古文。
あたしは、勉強全般大嫌いで眠くなるけど。
この内容はすごくタイムリーでなんか当て嵌まる事がたくさん多くてちょっと、興味が持てた。
人の性は悪なり。
その通りだと思う。
頬杖を付きながら、あたしは強く頷く。