フェアリーサイン



「冗談じゃない!! お前がやれ! 


って莉音言え! そして、ここは歯の一本や二本へし折ってしまえ!」



あのバカは、ここぞとばかりに言いたい事言っていたけどあたしは声が出なかった。



俯いて、動けずにいた。



でも、なんか言わなきゃ……。




「……して? どうして磯野さんを嫌うの……?」



小さな声でポツリと出た言葉はあたしの素直な疑問でもあった。



「……………」

姫梨ちゃんはその問い掛けに固まった。






―――バシ!!!


そのすぐ直後、おでこに痛みが走った。


足元に転がる整髪料のスプレー。


どうやら、投げ付けられたらしい。おでこ切れてないけど、地味に痛い。



「あんたには関係ないし。良いから言われた通りにやれよ」



じゃなきゃ、莉緒が代わりになる?






そう囁いて、姫梨ちゃんはトイレから出ていってしまった。
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