フェアリーサイン
「さっきの超~気まずかったぁ~!」
そんな時、廊下からサヤ達の賑やかな声が聞こえてきた。どうやら、姫梨ちゃんを見送った帰りだろう。
「ていうか、カナがあの場で言うからじゃん!」
「だって、絶対姫梨ちゃんかと思ったんだもん! それに、お母さんとお兄さん超有名なピアニストに指揮者だし。確か、お父さんもちょっとヴァイオリンやってたって言うし」
カナは、冗談ぽくふてくされた様な口調で話す。
「だよね~、それなのに優勝出来ないってちょっと、まずくない? って思うよね?」
ミカも賛同するように会話に加わる。
「ていうか、磯野さんってピアノちゃんと習ってないらしいよ」
「えー? マジで? それなのに、優勝?? うわぁー、水瀬立場ないじゃん!」
いつも、あんなに姫梨ちゃん姫梨ちゃんってくっついているくせにいざ本人が居ないとこんなもんなんだ……。
ちょっと、複雑だな……。