メリー*メリー
「あ、椎だ!椎来ました!」
園芸スペースに近づくと、僕を見つけたらしい部員の声が聞こえた。
そこにはすでに人がいて、数を数えると僕以外の全員が揃っているようだった。
「…おはようございます」
お辞儀をすると、紺と緑のチェックのマフラーを巻いている部長が言った。
「おはよ。椎がなかなか来ないから休みなのかと思った」
「すみません」と謝ると、「遅刻はしてないし、謝らなくていーよ」と笑顔で背中を叩かれた。
栗色のセミロングをお下げにしているなど女の子らしい見た目なのに、性格は豪快なところがある部長。
だけど、そういうところが彼女の魅力で素敵なところだと思う。
「それにしても珍しいよね」
「いちばん最初に来るのはいっつも椎だもんねー」
「そういえば椎って部活を休んだこともないんじゃない?」
「椎は真面目さんだからねー」
確かに先輩方の言うとおりで、僕は大体部活にいちばん乗りしている。
というのも、他に対してやることがないだけで決して真面目だと褒められるものではないのだが。
僕は先輩方に愛想笑いを返した。
もともと先輩との上手なつきあい方なんて僕には知らないし、こういう時に何て返したらいいのか分からない。
だからどうか叶うのならひっそりと過ごしたいのだけれど、あいにく園芸部たった1人の男子という立場では否が応でも目立ってしまうのだ。
けれどそれはもうどうしようもないことだと思う。
まぁ、もう慣れたことだからいいのだけれど。
「椎くん、どうしたの?」
声をかけられてそちらに目をやると、紗由が心配そうな顔でこちらを見ていた。
「あぁ、紗由。おはよ」
紗由は口ごもりながら「お、おはよう」と言うと、ハッとして「そうじゃなくて!」と彼女にしては珍しく強めの口調で言った。
僕は紗由の言っている意味が分からず首を傾げた。
園芸スペースに近づくと、僕を見つけたらしい部員の声が聞こえた。
そこにはすでに人がいて、数を数えると僕以外の全員が揃っているようだった。
「…おはようございます」
お辞儀をすると、紺と緑のチェックのマフラーを巻いている部長が言った。
「おはよ。椎がなかなか来ないから休みなのかと思った」
「すみません」と謝ると、「遅刻はしてないし、謝らなくていーよ」と笑顔で背中を叩かれた。
栗色のセミロングをお下げにしているなど女の子らしい見た目なのに、性格は豪快なところがある部長。
だけど、そういうところが彼女の魅力で素敵なところだと思う。
「それにしても珍しいよね」
「いちばん最初に来るのはいっつも椎だもんねー」
「そういえば椎って部活を休んだこともないんじゃない?」
「椎は真面目さんだからねー」
確かに先輩方の言うとおりで、僕は大体部活にいちばん乗りしている。
というのも、他に対してやることがないだけで決して真面目だと褒められるものではないのだが。
僕は先輩方に愛想笑いを返した。
もともと先輩との上手なつきあい方なんて僕には知らないし、こういう時に何て返したらいいのか分からない。
だからどうか叶うのならひっそりと過ごしたいのだけれど、あいにく園芸部たった1人の男子という立場では否が応でも目立ってしまうのだ。
けれどそれはもうどうしようもないことだと思う。
まぁ、もう慣れたことだからいいのだけれど。
「椎くん、どうしたの?」
声をかけられてそちらに目をやると、紗由が心配そうな顔でこちらを見ていた。
「あぁ、紗由。おはよ」
紗由は口ごもりながら「お、おはよう」と言うと、ハッとして「そうじゃなくて!」と彼女にしては珍しく強めの口調で言った。
僕は紗由の言っている意味が分からず首を傾げた。