メリー*メリー
ざわざわと雑談をしていた先輩方が僕の存在に気づいたらしく手を振った。
「あ、椎くん!」
「どこ行ってたの?」
「急にいなくなるからびっくりしたよー」
先輩方の声に、「すみません」と少し笑って謝る。
「で、ぶちょー、今日何するのー?」
部長と同じクラスの先輩が、部長に砕けた口調で聞いている。
「何って、分かるでしょ?」
部長はさも当然といわんばかりに園芸コーナーの近くに植えられている梅の木を指差し、部員の顔を見渡して、ある一点で視線を止めた。
「紗由ちゃん」
「はっ、はい!」
突然名前を呼ばれた紗由は、びくりと肩を震わせた。
「紗由ちゃんはあの梅の木を見てどう思う?」
至極冷静な口調で尋ねられ、紗由は言葉を詰まらせた。
「え?えっと…葉っぱが落ちています…?」
部長は紗由の言葉に頷いた。
「そう、葉っぱが落ちている。もっと言えば、枝が伸び放題だ。さあ、この梅の木、君だったらどうするのかな、椎くん?」
紗由から目をそらした部長は僕を見た。
げっ、と思いながら寂しい梅の木に目をやった。
生命が眠りについたような、寂しくしゃがれた木。
僕はその木を見ながら答えを口にした。
「梅の木はまだ、多分芽吹いていません」
細い枝はゴツゴツしているけれど、ふくらみは見られない。
まだ葉っぱも、つぼみも、できていない。
「だから今のうちに枝きりをしておくべきだと思います」
まだ芽吹いていない今のうちに。
「へぇ、何のために?」
部長は腕を組ながら少し意地悪な笑みを浮かべている。
さあ椎くんはどう答えるの?と挑発的な目だ。
強気な部長らしい目。
僕は少しの間考えながら、答えを口にした。
「あ、椎くん!」
「どこ行ってたの?」
「急にいなくなるからびっくりしたよー」
先輩方の声に、「すみません」と少し笑って謝る。
「で、ぶちょー、今日何するのー?」
部長と同じクラスの先輩が、部長に砕けた口調で聞いている。
「何って、分かるでしょ?」
部長はさも当然といわんばかりに園芸コーナーの近くに植えられている梅の木を指差し、部員の顔を見渡して、ある一点で視線を止めた。
「紗由ちゃん」
「はっ、はい!」
突然名前を呼ばれた紗由は、びくりと肩を震わせた。
「紗由ちゃんはあの梅の木を見てどう思う?」
至極冷静な口調で尋ねられ、紗由は言葉を詰まらせた。
「え?えっと…葉っぱが落ちています…?」
部長は紗由の言葉に頷いた。
「そう、葉っぱが落ちている。もっと言えば、枝が伸び放題だ。さあ、この梅の木、君だったらどうするのかな、椎くん?」
紗由から目をそらした部長は僕を見た。
げっ、と思いながら寂しい梅の木に目をやった。
生命が眠りについたような、寂しくしゃがれた木。
僕はその木を見ながら答えを口にした。
「梅の木はまだ、多分芽吹いていません」
細い枝はゴツゴツしているけれど、ふくらみは見られない。
まだ葉っぱも、つぼみも、できていない。
「だから今のうちに枝きりをしておくべきだと思います」
まだ芽吹いていない今のうちに。
「へぇ、何のために?」
部長は腕を組ながら少し意地悪な笑みを浮かべている。
さあ椎くんはどう答えるの?と挑発的な目だ。
強気な部長らしい目。
僕は少しの間考えながら、答えを口にした。