メリー*メリー
「いいよな? 紗由」
「当然!」
紗由は笑って頷いた。
「で、でも、いいの? クラス会の準備は?」
「んなことより、お前の大事ないとこを探す方が重要だろ?」
ユズは後ろ髪をかきながらそう言った。
「それに人手が多い方がいいだろ?」
僕は紗由を見た。紗由は微笑みながら頷いていた。
「2人とも、ありがとう」
それからレイの捜索活動が始まった。
「そのいとこの特徴は?」
街の中を歩きながら、ユズが問う。
「中学校1年生くらいの女の子で、濃紺の長い髪と瞳をしている。それから白いポンチョとワンピースを着てるから結構目立つと思う」
それに、あの美少女と言われてもおかしくないほど可愛らしい容姿。目立たないわけがない。
「濃紺の長い髪に、白いポンチョね」
紗由がそう言いながら辺りを見渡す。
「とりあえず辺りの人に聞いてみようか」
にっこりと紗由は笑うと「すみません」と街を歩く見知らぬ人に話しかけに言った。
…すごい。僕には到底できない芸当だ。
「さあ、椎もぼうっとしてないで探すぞ」
ユズがニッと笑いながらそう言う。
「大丈夫だ。きっと見つかる」
僕はそれに笑って答えた。
「そうだね」
…レイ、今君はどこにいるの。
どこにいたとしても、僕が見つけに行くから。
だからそれまで、
どうか無事でいて。
「紗由、どうだった?」
「ううん、いなかった。椎くんの方は?」
「こっちもだめだった」
分かれて探すことになり、アーケードの中を探し回った。
その中で紗由とこうして会ったから状況を聞いてみたけれど、紗由の方にもいなかったらしい。
「ユズが探している方にいればいいんだけど」
紗由も曇った表情をした。
「あっ、ユズ!」
突然、紗由が声をあげる。僕もはっと顔を上げると、息を切らしたユズがいた。
「ユズ!」
慌てて駆け寄ると、ユズは眉を下げた。
「こっちにはいなかった」
曇った表情をする。