メリー*メリー
「そういうわけなんで」
僕はレイの肩をグイッと引き寄せた。
「この子、返してもらいますね」
じゃ、と踵を返そうとしたところで「待てよ」と呼び止められた。
「誰も返してやるなんて言ってねぇだろーが」
ポケットに手をつっこんだまま詰め寄る男性。
「ふざけたことも大概にしろよ、オッサン」
後ろからそんな声が聞こえた。
声の主はもちろんユズ。
全く、こんな20代前半の男性をオッサン呼ばわりするなんて、よほど肝が据わっていると見て取れる。
2人の視線が僕とレイからユズに移る。
「テメェこそふざけんなよ」
怒った様子で男性は言う。
しかしユズはそれを鼻で笑って「本当のことだろうが」なんて言う。
何を言い出すか分からない上に一触即発な空気に変わっていくものだからハラハラする。
「オッサン2人がこーんな可愛い子に手を出すなんて、ロリコンなんだな、オッサン」
ピキリ。効果音を付けたらそんな感じだろうか。
「テメェ、なんつった?」
2人の男性は怒った様子でユズに詰め寄る。
僕はそばにいるユズに耳打ちをした。
「ユズ、この人達を煽らなくていいよ。僕の願いはこの子の奪還だけだから」
「あぁ、知ってる」
ユズは僕の方を見ずに笑って言った。まるで悪魔みたいな顔をしている。
僕は溜息を吐いた。
これは、だめだ。
僕の言いたいことが全然伝わっていない。
「なんだ、俺たちの言ってることが分からねぇってのか、オッサン」
「んだと、ガキが調子に乗りやがって」
このままではまずい。喧嘩になりかねない。
止めに入ろうかと思ったそのときだった。
「もしもし、警察ですか?」
紗由の声が響いた。
バッと一気に視線が紗由に集まる。
紗由は耳にケータイを当てて、通話しているようだった。
「…はい、はい。あの、駅前のアーケードの路地裏の方なんですけど、はい…はい…」
その途端、男性2人は焦りの表情を浮かべ始めた。
「クソッ!」
舌打ちをして、彼らは走ってその場から逃げ出した。
訪れた静寂の中、紗由はそっとケータイを耳から離した。
僕はレイの肩をグイッと引き寄せた。
「この子、返してもらいますね」
じゃ、と踵を返そうとしたところで「待てよ」と呼び止められた。
「誰も返してやるなんて言ってねぇだろーが」
ポケットに手をつっこんだまま詰め寄る男性。
「ふざけたことも大概にしろよ、オッサン」
後ろからそんな声が聞こえた。
声の主はもちろんユズ。
全く、こんな20代前半の男性をオッサン呼ばわりするなんて、よほど肝が据わっていると見て取れる。
2人の視線が僕とレイからユズに移る。
「テメェこそふざけんなよ」
怒った様子で男性は言う。
しかしユズはそれを鼻で笑って「本当のことだろうが」なんて言う。
何を言い出すか分からない上に一触即発な空気に変わっていくものだからハラハラする。
「オッサン2人がこーんな可愛い子に手を出すなんて、ロリコンなんだな、オッサン」
ピキリ。効果音を付けたらそんな感じだろうか。
「テメェ、なんつった?」
2人の男性は怒った様子でユズに詰め寄る。
僕はそばにいるユズに耳打ちをした。
「ユズ、この人達を煽らなくていいよ。僕の願いはこの子の奪還だけだから」
「あぁ、知ってる」
ユズは僕の方を見ずに笑って言った。まるで悪魔みたいな顔をしている。
僕は溜息を吐いた。
これは、だめだ。
僕の言いたいことが全然伝わっていない。
「なんだ、俺たちの言ってることが分からねぇってのか、オッサン」
「んだと、ガキが調子に乗りやがって」
このままではまずい。喧嘩になりかねない。
止めに入ろうかと思ったそのときだった。
「もしもし、警察ですか?」
紗由の声が響いた。
バッと一気に視線が紗由に集まる。
紗由は耳にケータイを当てて、通話しているようだった。
「…はい、はい。あの、駅前のアーケードの路地裏の方なんですけど、はい…はい…」
その途端、男性2人は焦りの表情を浮かべ始めた。
「クソッ!」
舌打ちをして、彼らは走ってその場から逃げ出した。
訪れた静寂の中、紗由はそっとケータイを耳から離した。