メリー*メリー
「ところでさ、今日はなんて日か知ってる?」
僕は突然話題を変えた。
レイは一瞬キョトンとしたが、すぐに「え~っと…」と考え始めた。
「今日は12月31日で、大晦日」
「おおみそか…?」
なんですかそれ、とレイは首を傾げている。
「1年が終わる日だよ。明日からはまた新しい年が始まる」
僕がそういうと「えぇ!」とレイは立ち上がりながら叫んだ。
「どうしたの、急に立ち上がったり叫んだりして」
するとレイは僕の方を見ながら「だって!」と大声で話し始めた。
「だって、1年が終わっちゃうんですよ!なんだか寂しいし、でも来年は楽しみだし、叫ばずにはいられないじゃないですか!」
「ごめん、よく分からない」
僕がそういうとレイは「もー!」とまた怒りだす。感情がコロコロ変わる、忙しい人だ。
「で、レイはそんな1年が終わる日に何がしたいの?」
「雪遊び!」
「却下」
「なんで外で遊ばないんですかー!」とレイはまた叫んだ。耳がキンキンする。
「だからこんな寒いのに外に出て遊ぶのが嫌なの」と答えると、レイは黙ったまま、けれど何か言いたそうな顔をしてジトッと僕を見た。
「そんなんだから椎は不健康で運動不足になるんですよ」
「それ関係ないから」
食い気味に否定する。
確かに僕はユズほど運動しているわけじゃないけど、そういうことをレイから憎たらしそうに言われるのは腹が立つ。
しかも最近少し気にしていることだから、余計腹が立つ。
おもむろにこたつの上のみかんを1つ手に取って皮をむく。そして薄橙の実を1つ口に放り込んだ。爽やかな、穏やかな甘さと酸味が口いっぱいに広がって、幾分か気分も落ち着く。
ふと視線をレイにやると、レイは羨ましそうに僕を見ていた。中途半端に開いた口がいかにも子供っぽくて、でも可愛らしくて、僕はぷっと吹き出しそうになってしまった。
「レイも食べようよ。大家さんがくれたんだ」
するとレイは「いただきます」とみかんを1つ手にとった。
そして薄橙の実を口に含むと、心底美味しそうな、幸せそうな顔をする。
「美味しかった?」
聞くまでもなくその表情からそんなこと分かっているけれど、思わず尋ねてしまう。
僕は突然話題を変えた。
レイは一瞬キョトンとしたが、すぐに「え~っと…」と考え始めた。
「今日は12月31日で、大晦日」
「おおみそか…?」
なんですかそれ、とレイは首を傾げている。
「1年が終わる日だよ。明日からはまた新しい年が始まる」
僕がそういうと「えぇ!」とレイは立ち上がりながら叫んだ。
「どうしたの、急に立ち上がったり叫んだりして」
するとレイは僕の方を見ながら「だって!」と大声で話し始めた。
「だって、1年が終わっちゃうんですよ!なんだか寂しいし、でも来年は楽しみだし、叫ばずにはいられないじゃないですか!」
「ごめん、よく分からない」
僕がそういうとレイは「もー!」とまた怒りだす。感情がコロコロ変わる、忙しい人だ。
「で、レイはそんな1年が終わる日に何がしたいの?」
「雪遊び!」
「却下」
「なんで外で遊ばないんですかー!」とレイはまた叫んだ。耳がキンキンする。
「だからこんな寒いのに外に出て遊ぶのが嫌なの」と答えると、レイは黙ったまま、けれど何か言いたそうな顔をしてジトッと僕を見た。
「そんなんだから椎は不健康で運動不足になるんですよ」
「それ関係ないから」
食い気味に否定する。
確かに僕はユズほど運動しているわけじゃないけど、そういうことをレイから憎たらしそうに言われるのは腹が立つ。
しかも最近少し気にしていることだから、余計腹が立つ。
おもむろにこたつの上のみかんを1つ手に取って皮をむく。そして薄橙の実を1つ口に放り込んだ。爽やかな、穏やかな甘さと酸味が口いっぱいに広がって、幾分か気分も落ち着く。
ふと視線をレイにやると、レイは羨ましそうに僕を見ていた。中途半端に開いた口がいかにも子供っぽくて、でも可愛らしくて、僕はぷっと吹き出しそうになってしまった。
「レイも食べようよ。大家さんがくれたんだ」
するとレイは「いただきます」とみかんを1つ手にとった。
そして薄橙の実を口に含むと、心底美味しそうな、幸せそうな顔をする。
「美味しかった?」
聞くまでもなくその表情からそんなこと分かっているけれど、思わず尋ねてしまう。