メリー*メリー
「ありがとうね」
おばちゃんはレイに笑いかけた。
「ずっとひとりで寂しそうだった椎くんがあんなに優しく笑うのは、きっとあなたのおかげだろうから」
ありがとう。
おばちゃんはもう一度頭をさげた。
「いえ、そんな、私なんて何もしてないしむしろ溜息吐かれることの方が多いっていうかなんて言うか、あの!」
レイはあたふたしながら首と両手を横に振る。
「本当に可愛らしいお嬢さん」
おばちゃんは優しく目を細めた。
それから僕らはもう一度おばちゃんに頭を下げて、お店を出た。
「椎、どこに行くんですか?」
おばちゃんのお店を出た僕はレイに何も告げずにある場所へと向かっていた。
「花屋さん」
そう答えると特徴的なピンクの屋根が見えた。
「こんにちは」
店先に出ていたお店の人に挨拶をした。
「あら、椎くん!」
お店の人__店長のハナさんは作業していた手を止めてこちらを見るとにこやかに笑った。
ハナさんは20代という若さで家業の花屋を継いだ立派な店長さんだ。
この方とも小さい頃からの付き合いで、さきほどのおばちゃんのように、親戚というような、少し年の離れたお姉さんというような感じがする。
「今日はお連れの方がいるのね、珍しい」
ハナさんは僕の斜め後ろにいたレイに気づいて「こんにちは」と挨拶をした。
「こんにちは。レイと申します」
レイはペコリとお辞儀をした。
そんなレイの姿を見てハナさんはフフッと笑みをこぼした。
「礼儀正しい、すてきなお嬢さんね」
ハナさんはちらりと僕を見ながら「彼女さん?」と言ってきた。
「違いますよ!ハナさんまでおばちゃんと同じことを言わないでください」
僕がため息を吐きながらそう言うと、「ごめんなさいね」と微塵も申し訳なさも感じられないように謝った。
どうにもここの人たちは男女で歩いている人達を見るとカップルか夫婦と思い込んでしまうらしい。
「おばちゃんのお店にも寄ってきたんだね」
「はい。おばちゃんも元気そうで良かったです」
もちろんハナさんも。
僕がそう言うと、ハナさんは笑って「ありがとう」と言った。
向日葵の花が咲き誇っているような、変わらない、元気いっぱいの笑顔だった。
おばちゃんはレイに笑いかけた。
「ずっとひとりで寂しそうだった椎くんがあんなに優しく笑うのは、きっとあなたのおかげだろうから」
ありがとう。
おばちゃんはもう一度頭をさげた。
「いえ、そんな、私なんて何もしてないしむしろ溜息吐かれることの方が多いっていうかなんて言うか、あの!」
レイはあたふたしながら首と両手を横に振る。
「本当に可愛らしいお嬢さん」
おばちゃんは優しく目を細めた。
それから僕らはもう一度おばちゃんに頭を下げて、お店を出た。
「椎、どこに行くんですか?」
おばちゃんのお店を出た僕はレイに何も告げずにある場所へと向かっていた。
「花屋さん」
そう答えると特徴的なピンクの屋根が見えた。
「こんにちは」
店先に出ていたお店の人に挨拶をした。
「あら、椎くん!」
お店の人__店長のハナさんは作業していた手を止めてこちらを見るとにこやかに笑った。
ハナさんは20代という若さで家業の花屋を継いだ立派な店長さんだ。
この方とも小さい頃からの付き合いで、さきほどのおばちゃんのように、親戚というような、少し年の離れたお姉さんというような感じがする。
「今日はお連れの方がいるのね、珍しい」
ハナさんは僕の斜め後ろにいたレイに気づいて「こんにちは」と挨拶をした。
「こんにちは。レイと申します」
レイはペコリとお辞儀をした。
そんなレイの姿を見てハナさんはフフッと笑みをこぼした。
「礼儀正しい、すてきなお嬢さんね」
ハナさんはちらりと僕を見ながら「彼女さん?」と言ってきた。
「違いますよ!ハナさんまでおばちゃんと同じことを言わないでください」
僕がため息を吐きながらそう言うと、「ごめんなさいね」と微塵も申し訳なさも感じられないように謝った。
どうにもここの人たちは男女で歩いている人達を見るとカップルか夫婦と思い込んでしまうらしい。
「おばちゃんのお店にも寄ってきたんだね」
「はい。おばちゃんも元気そうで良かったです」
もちろんハナさんも。
僕がそう言うと、ハナさんは笑って「ありがとう」と言った。
向日葵の花が咲き誇っているような、変わらない、元気いっぱいの笑顔だった。