メリー*メリー
「レイが無事で、良かった」
それが、それだけで、十分なくらいに。
そのことが嬉しい。
レイは涙を流しながら走ってきて僕に抱き着いた。
ぎゅっと密着するレイの身体。
小さくて、少し冷たい。
「ごめ、なさ…」
鼻をすする音、嗚咽の音。
その隙間から聞こえた、レイの言葉。
泣きじゃくりながらでも伝えようとした、その言葉。
…ちゃんと、届いたから。
「もう、いいよ」
きっと君はすごく後悔して、悲しくて、悔しくて。
僕が怒ってないとしても、きっと、許せなかったんだろう。
家出をしてしまった、自分のことを。
でも、そんな君だから
その涙も、全部
とても愛おしいと思うんだ。
僕はまだ泣いて肩を震わせているレイをぎゅっと抱きしめて、そっと頭を撫でていた。
しばらくして、レイが泣き止むと、僕らは紗由の家から帰ることにした。
「ごめんね、紗由」
「ごめんなさい。お世話になりました」
僕らがそろって頭をさげると紗由はクスクスと面白そうに笑った。
「いいよ。楽しかったから」
それから紗由は少しかがんで、レイの頭を撫でながら「うまくいくといいね」と小さな声で微笑んだ。
レイは俯いて、けれどしっかり頷いた。
それを見た紗由は更に愛おしそうに微笑んだ。
「何の話?」
僕が問いかけると、2人そろってこちらを向いて「ないしょ」と言った。
「椎には関係ありません!」
強い口調で、レイは言う。
「あっそ」
僕は溜息を吐いた。
紗由は笑い声を押し殺しながら笑っているようだった。
ニヤニヤ、なぜだかほほえましいと言わんばかりの目で見つめられている、そんな気がする。
「長居しちゃ悪いね」
僕は一刻も早くこの場から離れたくなって、突然そんなことを言った。
「悪いだなんて、そんなことないよ」
気にしないで、と紗由は笑う。
「また遊びにおいで」
紗由に微笑まれたレイはにこりと笑って頷いた。
「ありがとう!」
それから僕らは紗由の家を後にした。
それが、それだけで、十分なくらいに。
そのことが嬉しい。
レイは涙を流しながら走ってきて僕に抱き着いた。
ぎゅっと密着するレイの身体。
小さくて、少し冷たい。
「ごめ、なさ…」
鼻をすする音、嗚咽の音。
その隙間から聞こえた、レイの言葉。
泣きじゃくりながらでも伝えようとした、その言葉。
…ちゃんと、届いたから。
「もう、いいよ」
きっと君はすごく後悔して、悲しくて、悔しくて。
僕が怒ってないとしても、きっと、許せなかったんだろう。
家出をしてしまった、自分のことを。
でも、そんな君だから
その涙も、全部
とても愛おしいと思うんだ。
僕はまだ泣いて肩を震わせているレイをぎゅっと抱きしめて、そっと頭を撫でていた。
しばらくして、レイが泣き止むと、僕らは紗由の家から帰ることにした。
「ごめんね、紗由」
「ごめんなさい。お世話になりました」
僕らがそろって頭をさげると紗由はクスクスと面白そうに笑った。
「いいよ。楽しかったから」
それから紗由は少しかがんで、レイの頭を撫でながら「うまくいくといいね」と小さな声で微笑んだ。
レイは俯いて、けれどしっかり頷いた。
それを見た紗由は更に愛おしそうに微笑んだ。
「何の話?」
僕が問いかけると、2人そろってこちらを向いて「ないしょ」と言った。
「椎には関係ありません!」
強い口調で、レイは言う。
「あっそ」
僕は溜息を吐いた。
紗由は笑い声を押し殺しながら笑っているようだった。
ニヤニヤ、なぜだかほほえましいと言わんばかりの目で見つめられている、そんな気がする。
「長居しちゃ悪いね」
僕は一刻も早くこの場から離れたくなって、突然そんなことを言った。
「悪いだなんて、そんなことないよ」
気にしないで、と紗由は笑う。
「また遊びにおいで」
紗由に微笑まれたレイはにこりと笑って頷いた。
「ありがとう!」
それから僕らは紗由の家を後にした。