メリー*メリー
さっき1人で歩いてきた道を、今度は2人で歩いていく。
景色は何も変わらないのに、なんだか少し暖かいような気持ちになってくる。
「レイ、紗由と何を話していたの?」
僕の少し先を行くレイに問いかける。
レイは踊るようにくるくる回っていたのをやめ、急に振り返った。
そしてニイ、と口の端を上げて、人差し指を唇にそっと当てた。
「秘密です」
その、悪戯っぽい微笑み。
不敵な笑み。
どくんと痛んだ心臓のせいで、僕は何も言えなくなって、それが悔しくて。
「痛い!」
人差し指でそのおでこを軽く突いた。
「何するんですか!」
レイは額を押さえて反論する。
「椎!」
僕はレイに何も答えずいつもより少し速度を上げて歩き出した。
…言えるわけがない、額を突いた理由なんて。
レイを相手に理由を簡単に言えるほど、僕に勇気なんてなかった。
*
家に帰ってからレイはキッチンに籠っている。
『キッチン、貸してください!』
家に帰った途端、レイは真剣な顔でそういうので、僕は不思議に思いながらも許可をした。
『絶対に見ないでくださいね!』
そう言われてしまって、僕はレイの様子を見ることもなく自分の部屋にいた。
とは言いつつも、気になって仕方がない。
様子を見に行こうと思って、やっぱりやめて。そんなことを何度も繰り返して。
…何がやりたいんだろう。
はぁ、溜め息を吐いた。
____ガチャン!
「うわ!」
その時、キッチンから大きな音とレイの声がした。
「レイ?」
大丈夫?
そう声をかけるけど、レイの返事はない。
…見るなと言われていたけど。
今は、もう。
その言いつけを、守っていられない。
僕はキッチンに出た。
「レイ…?」
レイは座り込んで泣いていた。
景色は何も変わらないのに、なんだか少し暖かいような気持ちになってくる。
「レイ、紗由と何を話していたの?」
僕の少し先を行くレイに問いかける。
レイは踊るようにくるくる回っていたのをやめ、急に振り返った。
そしてニイ、と口の端を上げて、人差し指を唇にそっと当てた。
「秘密です」
その、悪戯っぽい微笑み。
不敵な笑み。
どくんと痛んだ心臓のせいで、僕は何も言えなくなって、それが悔しくて。
「痛い!」
人差し指でそのおでこを軽く突いた。
「何するんですか!」
レイは額を押さえて反論する。
「椎!」
僕はレイに何も答えずいつもより少し速度を上げて歩き出した。
…言えるわけがない、額を突いた理由なんて。
レイを相手に理由を簡単に言えるほど、僕に勇気なんてなかった。
*
家に帰ってからレイはキッチンに籠っている。
『キッチン、貸してください!』
家に帰った途端、レイは真剣な顔でそういうので、僕は不思議に思いながらも許可をした。
『絶対に見ないでくださいね!』
そう言われてしまって、僕はレイの様子を見ることもなく自分の部屋にいた。
とは言いつつも、気になって仕方がない。
様子を見に行こうと思って、やっぱりやめて。そんなことを何度も繰り返して。
…何がやりたいんだろう。
はぁ、溜め息を吐いた。
____ガチャン!
「うわ!」
その時、キッチンから大きな音とレイの声がした。
「レイ?」
大丈夫?
そう声をかけるけど、レイの返事はない。
…見るなと言われていたけど。
今は、もう。
その言いつけを、守っていられない。
僕はキッチンに出た。
「レイ…?」
レイは座り込んで泣いていた。