メリー*メリー
ユズと話してからはずっと上の空だった。
ただ流れる雲をずっと見ていた。
薄い雲がかかる空。
ところどころきっぱりとした青が覗く。
空の青。
雲の白。
空にある色は2色だけなのに、分からなくなった。
日が傾いて空が白んで。
雲が薄くて空の青を写して。
重なって、混ざって、絡み合って。
何が何だか、分からなくなってしまった。
放課後を告げるチャイムが鳴り響くと、僕は鞄を持って早々に教室から出た。
ざわめきだす校内。
その声をどこか遠い世界の音のように聞き流しながら昇降口に向かった。
昇降口から外に出れば、すぐに刺すような冷たい空気が肌に触れる。
僕は首に巻き付けたマフラーを結びながら、当てもなく歩いた。
少し歩いていくつか角を曲がって、はたと立ち止まると目の前には花壇があった。
ああ、僕はどうしても、この場所にたどり着いてしまうのか。
あのひとが__母さんが、遺してくれた場所に。
僕はフッと自虐的に笑ってしゃがみこんだ。
花壇を見て、目を見開いた。
「__母さん」
僕は目を閉じた。
喜びと達成感とで胸がいっぱいになった。
ああ、この時のために、僕は、ずっと。
声にならない感動を胸に押さえ込みながら、せめて声だけでも届くようにと祈りを込めた。
「咲いたよ」
あなたが僕に遺してくれた、最後の絆。
ただ流れる雲をずっと見ていた。
薄い雲がかかる空。
ところどころきっぱりとした青が覗く。
空の青。
雲の白。
空にある色は2色だけなのに、分からなくなった。
日が傾いて空が白んで。
雲が薄くて空の青を写して。
重なって、混ざって、絡み合って。
何が何だか、分からなくなってしまった。
放課後を告げるチャイムが鳴り響くと、僕は鞄を持って早々に教室から出た。
ざわめきだす校内。
その声をどこか遠い世界の音のように聞き流しながら昇降口に向かった。
昇降口から外に出れば、すぐに刺すような冷たい空気が肌に触れる。
僕は首に巻き付けたマフラーを結びながら、当てもなく歩いた。
少し歩いていくつか角を曲がって、はたと立ち止まると目の前には花壇があった。
ああ、僕はどうしても、この場所にたどり着いてしまうのか。
あのひとが__母さんが、遺してくれた場所に。
僕はフッと自虐的に笑ってしゃがみこんだ。
花壇を見て、目を見開いた。
「__母さん」
僕は目を閉じた。
喜びと達成感とで胸がいっぱいになった。
ああ、この時のために、僕は、ずっと。
声にならない感動を胸に押さえ込みながら、せめて声だけでも届くようにと祈りを込めた。
「咲いたよ」
あなたが僕に遺してくれた、最後の絆。