プラチナ思考
『けーちゃん。』
『なに?研磨くん。』
お弁当を一緒に食べているのに、彼女のは減りもしない。
気を使われているのを感じながらも知らないふりをしていたが、ある連絡がきたから言うことにした。
『けーちゃん。いいよ。オレはコレでもお腹は満たされるから。』
コンビニのお弁当を見せると彼女はさみしそうに笑った
『だって、研磨くん。
いつも食べてる量の半分だよ……足りるの?』
だから、私の分。そう言って控えめに出されたお弁当。
中身は彼女の手作りらしい。
朝、待ち合わせ場所から学校へと続く道を一緒に歩いていたが今日は寄り道をさせてもらった。
事情を笑いながら話せば、彼女はびっくりしながらも自分のお弁当をたくさん持って来れば良かった。と後悔し始めたのだ
今日作った量なら、オレら双子と妹、弟分も持たせられたのに。
と言われた。
嬉しくなって、ほっぺにキスすれば赤くなって恥ずかしいよ。とうつむいたのを思い出した。
『けーちゃん、ここでキスするよ?』
『えっ?!えっ!な、な、なんで?』
わたわたと両手を上げて顔を赤くする彼女。可愛くて仕方が無い
『けーちゃん、お昼食べないから。
言うこと聞かないならキスする。』
真剣にまっすぐ見つめたら彼女はお弁当を食べ始めた。
『あ、今日は家集合ね』
『え、なんで?』
『すき焼きなんだ』
『そっか。すき焼きなんだ………』
納得すると、彼女はオレに1つトマトを差し出した。
『………甘いの。食べて?』
控えめな性格のくせに、たまにやることが大胆になる。
トマトはオレの好きなもの。知ってて毎日詰めてくる彼女は、可愛くて可愛くて。
素直に口に含めば甘酸っぱいのが口に広がった。
『うん、美味しいね。』
『ふふ、今日のはちょっと高いやつ』
周りの視線が痛いとかもう気にならない。
彼女さえ嬉しく笑ってくれれば、それで嬉しいから。
『うーーーーみーーーー。』
『はいはい。なんですか』
『今の、あーん。だよな?』
真後ろで見ていた弟が、少し大きめに話していた。
『そうですね。あーん。ですね。』
ついでに、悪友の海までもが、同じように話す
『あっ、えっと、あの。』
彼女にも聞こえていたらしい。真っ赤になった顔で目を丸くさせた
『こらこら、ひがまないの。』
ニコニコ笑えば、ひがんでねーーーし!と怒る弟
『あ、海も今日行くよね?』
『………………お前ら兄弟には人の予定を聞く習慣がないのか?』
呆れて笑う海、拓磨はオレ達双子だもん。と自信満々に答えていた。
隣をみれば、彼女はニコニコ笑っていた。
キミはそうやって笑っていたらいい。
俺の隣でずっと。と願うのは父さん譲りの毒占欲が幼い時からあるから。
今日は、すき焼き。
きっと美月も愛香ちゃんあたり呼ぶだろうし早く家に帰らなくてはいけない。
午後の授業をいかに早く終わらせるか考える長男だった、