王道恋愛はじめませんか?
『この際、収入だの年の差だの学歴だの顔だの言ってらんないよ?出会いの場所に自分の身を投じなきゃ!』
「んー…」
そんなことは分かってる。
でも、元々私は未来みたいに恋愛体質ではないし、結婚と言われてもあまりピンと来ない。
結婚…いずれはしたいと思うけど、そこまで焦ることかな?
『今回は良い物件よ!大手の製薬会社なの!』
「物件って…」
相変わらず言い方が乱暴っていうか、下品っていうか、失礼っていうか。
まぁ、そのサバサバした物言いも未来らしいっちゃ未来らしいんだけど。
「ねぇ、未来。」
『ん?何?』
「もう、大丈夫なんだよね?」
不意に、前から未来に聞きたかったことを聞いてみる。
失恋の傷はいえたのか。
日曜の合コンは、未来が前を見ているという証なのか。
それとも、心の傷を隠すために無意識にしている自己防衛なのか。
長年、彼女のそばで見ていたからこそ、彼女の親友だからこそ、彼女の本音を知っておきたかった。