王道恋愛はじめませんか?
「な、何よ、いきなり」
未来の言葉に泣きそうになってるのを悟られたくなくて、つい出てしまったそっけない言葉。
それでも、鼻声交じりの声を聞いた未来は、きっと電話の先で私が涙をこらえてるなんてこと、きっとお見通しなんだろうな。
『だーかーら!私の大切な親友には思いっきり幸せになってほしいの!幸せの代名詞は恋よ!結婚よ!そのためにはまず、運命の人との出会い!ねっ、合コン行く気になったっしょ!?』
未来の今の言葉で私の目尻に浮かんでいた涙はすっかり引いていった。
……まったくもう。
結局はこうなるんだから。
「…ちっとも行く気になんないよ。」
『うっそー!?』
「他の人当たったら?」
『そんなの先に当たってるわよ!こっちだってね、みのりがこういうことには興味ないって分かった上で誘ってんの!』
軽く横に流そうとしたら、逆ギレさせてしまった。
どうしよう…。
さすがに親友の未来でも、嘉人くんのことなんて言えないし、
素直に好きな人がいるなんて言ったら、嘉人くんのこと追及されそうだし…、
『お願い!親友を助けると思って!』
「んー…」
悩みに悩んだ末、口を開く。
「……一次会だけだからね。」
『やったーー!』という未来の甲高い声に、眉間に皺を寄せながら、脳裏で嘉人くんの顔が浮かんで心の奥がズキリと軋んだ。