王道恋愛はじめませんか?
次々と運ばれてくるコースメニューも佳境に入り、食後のデザートを食べているときだった。
~♪~~♪♪
室内に鳴り響いた着信音。
ポケットからスマホを取り出し、画面を確認した嘉人くんから、『みのりさんのケータイじゃない?』と言われ、持っていたスプーンを食べかけのデザートが乗っているお皿に置いた後、カバンから未だ鳴り止まないスマホを取った。
えっ、未来…?
突然の親友からの着信に驚きながらも、電話だから外で出ようとするけれど、嘉人くんから気にしなくていいと言われてしまい、その場で通話ボタンを押した。
「も、もしもし…?」
『あっ、みのりー?』
電話から聞こえる未来の声は、数日前と変わらず元気という言葉が似合うハツラツとしたトーンだった。
「うん、どうしたの?」
『ごめーん、みのりー!明日の合コン、行けなくなったわ~!』
「えっ?」
未来の変わらない声量の大きさのせいで、電話越しの未来の声が嘉人くんと2人きりの室内に響き渡る。
『後輩の子が仕事でミスっちゃってさ、そのフォローしなくちゃいけなくて、明日も出勤しなきゃいけないの!』