王道恋愛はじめませんか?
数分、お互い何も言わずに、ただただ沈んでいく夕陽を見つめていた。
太陽が水平線を超えたとき、俺と彼女の時間も終わってしまう予感がした俺は、ついに口を開く。
『――合コンに行かないで欲しいって言ったら、どうする?』
口にした瞬間、彼女が俺を見上げる。
その瞳は、驚きの色を濃くしながらも、俺の言葉の真意を聞きたがっているようだった。
彼女から視線を外し、もう一度言う。
『俺は、行って欲しくないと思う。』
「!」
『行かないでよ、合コンなんか。』
この言葉を口にするのに、いったい自分は何時間かかっただろう。
ポツリ、と心の奥にあった自身の本音を表に出せば、その想いは次々と唇から漏れ出て行った。
「…俺じゃ、ダメかな。」
『え……っ』
今までずっと、心の内に溜めていた想い。
出会った時から、彼女の持つ空気や、彼女が見せる反応に、惹かれてた。
再会してからというものの、彼女と接するうちに、その想いは加速していって。
必死にブレーキを掛けていたのに――…もう、無理だ。
踏みっぱなしのアクセルに、もう理性という名のブレーキが利かなくなってしまったのだから。