王道恋愛はじめませんか?
――みのり Side――
“『…俺じゃ、ダメかな。』”
嘉人くんの言葉が、私の脳内で何回もリピートされる。
さっきまで目を奪われていた夕陽が沈んでいく海も、夕陽が照らす港町も、今の私には完全にシャットアウトされてしまっている。
突然、合コンに行かないで欲しいと言われた。
その言葉に驚いて、その言葉の真意を聞こうと思ったのに、彼は顔を合わせてくれなくて。
でも、行かないでと、彼はもう一度口にしたんだ。
『――俺、みのりさんのことが好きだよ。』
「っ……!?」
突然告げられた、嘉人くんの想い。
それは、私の心の奥に作った壁を壊すのには十分で。
『好きだ。』
「――っ」
夕陽に照らされた嘉人くんの顔は、今まで見たこともないくらいに格好良くて。
少しでも気を緩めたら、失神しそうだった。