王道恋愛はじめませんか?



――みのり Side――


“『…俺じゃ、ダメかな。』”


嘉人くんの言葉が、私の脳内で何回もリピートされる。

さっきまで目を奪われていた夕陽が沈んでいく海も、夕陽が照らす港町も、今の私には完全にシャットアウトされてしまっている。


突然、合コンに行かないで欲しいと言われた。

その言葉に驚いて、その言葉の真意を聞こうと思ったのに、彼は顔を合わせてくれなくて。

でも、行かないでと、彼はもう一度口にしたんだ。


『――俺、みのりさんのことが好きだよ。』

「っ……!?」


突然告げられた、嘉人くんの想い。

それは、私の心の奥に作った壁を壊すのには十分で。


『好きだ。』

「――っ」


夕陽に照らされた嘉人くんの顔は、今まで見たこともないくらいに格好良くて。

少しでも気を緩めたら、失神しそうだった。


< 149 / 190 >

この作品をシェア

pagetop