王道恋愛はじめませんか?
『……じゃあ、それは俺にも言えてるかもな。』
「えっ…?」
視線を上げた先には、私のお守りを大切そうに見つめる嘉人くん。
彼が顔を上げた瞬間、2人の視線が重なり、私の胸はドクンッ…と波打った。
『このお守りがなかったら、みのりに出逢えなかったわけだから。』
「……!」
『俺にとっても、このお守りは幸せを導いてくれるものになる。』
「嘉人くん……。」
思わず、彼の言葉に泣きそうになる。
緩みかけた涙腺を堪えていると、ソファに乗せていた右手が嘉人くんの左手と重なった。
それはまるで、私と一緒にいることが幸せなんだと、教えてくれているようで。
「…ありがとう。すごく、嬉しい。」
私はきっと生涯、嘉人くんからもらったこの言葉を忘れることはないだろう。
お祖母ちゃんが亡くなってからというもの、無意識のうちにお祖母ちゃんと過ごした記憶を消そうとしていた自分がいた。
思い出したら、どうしても泣きたくなってしまうから。
どうしても、孤独を感じてしまうから。