王道恋愛はじめませんか?
けん玉かぁ~、懐かしいなぁ。
けん玉も、おばあちゃんと一緒に遊んだ思い出の品のひとつ。
折り紙と違ってけん玉は少し苦手で、飽きもせず毎日やってたな~。
「まぁ、ちょっとだけならね?」
『本当に!?』
私の言葉に顔を明るくさせた健人くんが、ずいっと手に持っていたけん玉をこちらへ差し出してくる。
これは……やって見せろ、ってことかな?
『おい、健人~。お姉ちゃんの邪魔しちゃダメだろ?』
差し出されたけん玉を受け取っていると、リビングから嘉人くんの声が聞こえる。
足音がして、キッチンへとやってきた嘉人くんは、健人くんに相手にされなかったのが悔しいのか、ちょっと拗ねているようだった。
『だって、嘉人兄ちゃん、弱いんだもん!お姉ちゃんはけん玉できるって!』
『えっ、本当に?』
そんなに私がけん玉ができることが意外なのか、健人くんの話を聞いた嘉人くんは驚きの顔でこちらを見る。
なんだか想像以上の期待の眼差しを2人から送られてしまい、苦笑いを溢しながら、受け取ったけん玉の球の部分を空中に垂らす。