王道恋愛はじめませんか?
――『格好良かったぁーっ!』
3時間を超えるコンサートが終わり、会場を出るときには、すっかり日が落ちていて真っ暗だった。
私を今日のコンサートに誘ってくれた当の本人は彼らのパフォーマンスに大満足のようで、上機嫌だ。
……そりゃあ、サイン入りのタオルをもらえば、誰だって興奮しちゃうよね。
本当は、shineのメンバーの杉原 嘉人(スギハラ ヨシヒト)が投げたタオルは私の頭上に落ちてきたんだけど、あまりにも隣にいた未來が"それ、ちょうだい"と言わんばかりに見つめてくるもんだから、渡しちゃったんだよね。
『みのりもファンになったでしょ!?行ってよかったでしょ!?』
コンサートの熱狂で気持ちをコントロールできないのか、サイン入りタオルを握りしめながら、問いかけてくる未來。
「う、うん…。それより、そのタオルしまったほうが良いよ。見せびらかしてると、誰かに盗まれちゃうよ…?」
『あっ、そうよね!絶対コレ、家宝にするんだーっ!』
そういいながら、タオルを大切そうに鞄にしまう未來は、とても幸せそうで。
今日のコンサートを誘われた時は、行くか行くまいかとても悩んだけど。
本当に行って良かったと思う。
まだ、あの人との思い出を過去にはしきれていない私がいるけれど、
それもまた、ゆっくりと、自分のペースで消化していけばいいと感じ、鞄に付けていたお守りに手を伸ばした時、