王道恋愛はじめませんか?
聞けば、未來は今日、休みらしい。
まぁ、今のこの状態で仕事をしろって言われてもムリよね…。
というか、あの未來が翌日仕事だったら、こんなに酒を煽ることもなかっただろうし。
未來は、一見ミーハーな印象を見えるけれど、芯は強くまっすぐな子だ。
今日が休日だと見越して、あれまでの量を飲んだのだろう。
「……今からお粥でも作るから、未來はお風呂入ってきていいよ。」
『ホント?じゃあ、お言葉に甘えてそうするわ…。』
立つのもままならずに、よたつく未來を支えて、ムリに"ごめん"と笑う未來に、私は首を振ることしかできなかった。
一人でお風呂に向かう未來のことも心配だったけれど、とりあえず朝食を作らねば、私が遅刻してしまう。
すぐにキッチンに立った私は、まず昨夜の空になった鍋と食器洗いから始めた。
数分後、部屋の奥から水音が聞こえ始め、ちゃんと未來はお風呂に入れていると安堵する。
私には、未來の悲しみは計り知れない。
私だって恋の一つや二つはしてきているけど、未來ほど長くは続かなかったし、未來ほど…恋に盲目になったことはなかった。
今の未來には、最愛の彼と過ごしてきた5年という歳月が、どう映っているのだろう。
それは、本人しかわからないもので、私なんかには到底計り知れない。
もう半年も前になるけど、未來と出掛けた帰り、未來を迎えに来た彼は、すごく未來のことを大切にしていて、いかにも幸せなカップルのように見えていた。
4年以上の月日が流れても、変わらないお互いを想いあう2人を見て、私はこのまま2人は結婚するんだろうなと思っていたけど、それは私の大きな誤算だったらしい。