王道恋愛はじめませんか?
総務部が所属しているフロアに着くなり、2人して私を人気のない休憩スペースへと連れ込んだ。
広報部はフロアも違うのに、ここまで付いてくる必要はないと言ったけれど、泊くんまでエレベーターを降りてきたので、私は何も言わずに2人の後に続いたらコレだ。
エレベーターの中でも言えないような、そんな内密な話なのだろうか?
『先輩、落ち着いて聞いてくださいね…!』
いきなり興奮交じりに、そう切り出してきた城田ちゃん。
その隣にいる泊くんも、何だか楽しそうだ。
『来週の日曜…なんと、あの――“Shine”が我が社に来るんですよ…!!』
「――…え?」
一瞬、城田ちゃんが何を言っているのか、よく分からなかった私。
“Shine”って…あの?
「アイドルの?」
『はい!』
「あの5人組の?」
『はい!』
「1か月前にコンサートしてた、あの?」
『はい!…って、先輩、ファンなんですか?』
「いや、違うけど――…」
――マジか。
昨日の昼、その”Shine"のメンバーの一人である杉原さんと会っていただけに、驚愕を通り越して茫然としてしまう。