王道恋愛はじめませんか?
『これじゃあ、通常業務も回れませんね…。』
営業部の横にある印刷室のコピー機のインク補充を終え、一息ついた頃、重い溜め息をついた城田ちゃんが口を開いた。
『あーあ、特別応接室の見回りは、Shineが帰ってからかなぁ…。』
その声色は、明らかに落ち込んでいた。
まぁ、無理もない。
緊急内線の電話は鳴りっぱなしで、こなさなきゃならない通常業務は、2~3つしか終えていない。
「まぁまぁ。そうならないように、テキパキと次の仕事に――…」
~♪
5階フロアから立ち去ろうとしたとき、私のポケットに入れている総務部の緊急内線電話が着信を告げた。
その瞬間、あからさまに嫌そうな顔を見せた城田ちゃん。
そんな城田ちゃんに苦笑いしつつ、通話ボタンをプッシュする。
「はい、総務部・真山ですが。」
『あっ、真山か?広報の泊だけど。』
「えっ、泊くん…?」
意外な人物からの緊急内線電話に、私と同様、城田ちゃんも首をかしげた。