王道恋愛はじめませんか?
『あっ、真山…!こっちに来てくれ』
「あ…うん。」
特別応接室の奥にいた泊くんに呼ばれて、私は泊くんの元へと急ぐ。
泊くんの背後にある蛍光灯の一つが明かりがついていないことから、それが例の蛍光灯なのだと、すぐに察しはついた。
しかし、泊くんの元に行くまでには、Shineの皆様が座ってくつろいでいるテーブル横を通らなければならないわけで。
実際、入った瞬間に、杉原さんと目が合ったような気がした私は、今通常運転の表情を作れているかも不明。
ダメよ、みのり……仕事に集中しなきゃ。
『すまない、忙しいところ。…城田ちゃんもごめんね?』
『いえいえっ!』
「明かりのつかない蛍光灯は、コレ?」
私が泊くんの元に着くころには、入った直後のような重々しい雰囲気は払拭されており、広報部の人たちの業務関連の会話や、Shineの皆さんの雑談が聞こえ始める。
『ああ、そうなんだよ。』
「城田ちゃん、一回、この辺りの蛍光灯の明かり、消してきてくれる?この蛍光灯の電気を落としてくれればいいから。」
『はいっ!』
城田ちゃんから脚立を受け取り、蛍光灯の真下に設置した私は、社内見回りで必要な道具を入れた籠を床に置く。