王道恋愛はじめませんか?
『――俺が蛍光灯取り換えようか?』
脚立に上ろうとした私に、泊くんが声をかける。
まぁ、こういうのは男の人がした方がすぐ終わる。
でも、広報部長の前で、泊くんに手伝ってもらったら、総務にとんだとばっちりが飛び込んでくるか、わかったものではない。
「ううん、大丈夫。脚立、支えてくれればいいから。」
その時、ちょうどよく、城田ちゃんが蛍光灯の明かりを落としてくれた。
蛍光灯を見ながら、パンツスーツを着ていてよかったと、ズレたことを考える。
そうでもしないと、一瞬でも気を緩めれば、背後にいる杉原さんにすべての意識をもっていかれてしまう。
「さっき、私に内線かけたとき、広報部長かなり怒ってたでしょ?」
『ああ、やっぱ聞こえてた?』
「そりゃあ、あれだけの怒鳴り声じゃね…。」
蛍光灯の根元をクルクルと廻しながら、苦笑いを溢す。
『ちょうど彼らが撮影時間でここが空きになった時に発覚したからな。まぁでも、Shineが入ってきたとたん、さすがの部長も口を閉ざしたんだよ。』
「あ、やっぱり?…でも、おかしいなぁ。」
『ん?何が?』
ここに来るまでの間、引っかかっていたことを、泊くんに告げる。