王道恋愛はじめませんか?
ここの蛍光灯のスイッチが取り付けてある特別応接室のドア付近へと行った城田ちゃんに準備オッケーサインを出すと、城田ちゃんが蛍光灯のスイッチをONにした瞬間、切れていたはずの蛍光灯の明かりがついた。
『え…何で明かりが…?』
「ここの蛍光灯と銅線の接続部分が緩まってた。完全に蛍光灯を取り付けられてなかったってこと。」
さっき、その部分の蛍光灯を廻したときに感じた違和感。
それを確かめたくて、蛍光灯を逆回転させると、さっき廻した以上に回転したものだから、推測が確信に変わったんだ。
「ごめんね、これも総務のミスだったね。」
『いや、明かりがつくなら別にいいけど、』
『わぁ…!つきましたね、明かり!』
泊くんと私が苦笑いを浮かべていると、城田ちゃんがホッとしたような笑顔で帰ってきた。
「で、どうする?一応、また新しい蛍光灯に変えとく?」
『ん?あー……いや、いいわ。今のところ大丈夫そうだしな。』
「そっか、じゃあこのままにしとくね。」
『おう。サンキュな。』
「いえいえ。」
一安心して脚立を降りれば、何やらニヤケ顔の城田ちゃんと目が合う。
「え、どうしたの?」
『いや…やっぱり、泊さんと先輩ってお似合いカップルだなって!』
「へっ?」
『なっ――!?』
あ~、羨ましい~!と心底、純粋な笑顔でそう言った城田ちゃんに罪はない。
罪はない――…けど、ちょっと声が大きかったのは、反省してほしい。
だって、城田ちゃんの一言で、また室内がシーンと静まり返った。
しかも、隣にいる泊くんが――…
「と、泊く――…」
『か、かかかかっ…』
化石化してるよ、あの泊くんが…。