王道恋愛はじめませんか?
『……久しぶり、っていうほど時間は空いてないけど、久しぶりだね。』
「…はい、」
杉原さんの顔を見た瞬間、なんだかホッとする反面、ドキッともする。
言うほど前回お会いした時から日は立っていないのに、久しぶりだと感じてしまったのは杉原さんも一緒だったみたいで。
何でもない瞬間に、自然と考えることや感じていることを共有していることが、すごく嬉しく思う。
『意外と人が多いね…。早速行こうか。』
「はい」
辺りを見渡した杉原さんは、近くのパーキングエリアに車を止めてるから、と言って私を先導してくれる。
電話で待ち合わせ場所をどうしようかと2人で悩んでいたとき、人が少ないだろうと都内の大きな公園はどうかと提案した私だったけど、実際はランニングしている人や、ペットと散歩をしている人、自転車の練習をしている親子など、結構な人が公園を利用していた。
けれど、私は公園の裏口を待ち合わせにしたから、まだ人が通る数は少なかった。
「ここって、イルミネーションが凝っててすごいですね。」
日が出ているときには来たことがあっただけだった私は、正面入り口に施された無数のイルミネーションにはとても驚かされたことを思い出す。
そのことを杉原さんに話すと、彼もそのイルミネーションに興味を持ったみたいだった。
『え、そんなにすごいの?俺も見たかったなぁ~』
さも残念そうに肩を落とす杉原さん。
でもこの時間帯じゃあ、イルミネーションが飾られているところはまだまだ人がいるだろう。
『あっ、ねぇ、ご飯食べ終わったら、もう一回ここに来てもいい?』
「え?」
『やっぱ見たいし。もうちょっと夜も更ければ、人も少なくなるでしょ。』
そう言って無邪気な笑顔を溢す杉原さんを前に、私が頷かないはずもなく。
「はい。…きっと、杉原さんも驚きますよ。」
彼と一緒に居られる時間が伸びたことを、心の奥底で喜ぶ自分がいた。