この感情を僕たちはまだ愛とは知らない
お昼休みを返上したおかげで5時すぎには終わり菅さんの待つエントランスに向かう
「菅さん」
「麻衣、待ってた」
「行きましょう」
「そうだな」
菅さんの車で向かったのは飲食店などではなく菅さんの家だった
車から降りて走りだそうとした私の手首を掴む
「痛い」
瑞希ならこんな乱暴はしない
暴れたせいでスマホが地下駐車場のコンクリを滑る
「さあおいで」
「いや」
スマホを拾うことも叶わず私は菅さんの部屋に閉じこめられた
瑞希···助けて
声ききたいよ
私は菅さんと共にベッドにいた
菅さんがリビングに行く瞬間、菅さんの携帯を取る
電話番号おぼえてない
どうしよう
迷った挙げ句に家電にかけた
瑞希出てよ
「はい」
「瑞希、助けて」
「はっ?」
「はあ?じゃない
ご主人さまのピンチなの」
「声でかい」
「とにかく場所を言うから来て」
「俺でいいの?無視したくせに
俺がどれだけ心配したかわかる?
俺からの着信無視しまくった癖に」
「もうあとでちゃんと話すからねっ?」
「知らないよどんなことになっても」
まさか瑞希キレてる?
電話がきれたのと菅さんが入ってきたのは同時で慌ててスマホを隠した
「なにしてた?」
「んんなんでもない」
瑞希、早く来て
私の願いはすぐに叶ってしまった
ガチャガチャというドアノブの音
「まったく誰だい」
開けちゃダメと思いながらも言えずドアが開かれた
「宅配便です」
低い声
ほっと胸をなでおろしたのも束の間
パリンという音が玄関からする
一瞬わからなかったけど何かを投げたのだ
そして玄関脇の鏡が割れた
「何をする」
「何もしてねぇよおっさん」
この声まさか瑞希?!
「瑞希」
ぎろりと睨みつけられる
「楽しかったか?」
瑞希は押し倒した菅さんの上に座りながらニヤリと笑う
「菅さん」
「まったくおまえはどっちなんだよ」
「警察を呼ぶぞ」
「勝手にしろよ
ヤタガラスの名前でもだしてせいぜい楽しみな
だって俺は橘瑞希じゃないんだからな」
えっ···
瑞希じゃない
どういうことなの?
「じゃあ」
「察せよ少しくらい
俺は橘瑞希じゃない
橘瑞希なら三年前に死んだよ
瑞希は俺の親友だ」
「ウソだ」
「はーめんどくせぇな」
なんて呼んでいいかわからないその人は悠然と立ちあがると財布から免許証を投げる
倉橋律···まったく違う名前があった
「···」
「わかったろ
つーかいつまで呆けてんだよおまえも」
「あっ···うん」
「菅さん」
「麻衣、待ってた」
「行きましょう」
「そうだな」
菅さんの車で向かったのは飲食店などではなく菅さんの家だった
車から降りて走りだそうとした私の手首を掴む
「痛い」
瑞希ならこんな乱暴はしない
暴れたせいでスマホが地下駐車場のコンクリを滑る
「さあおいで」
「いや」
スマホを拾うことも叶わず私は菅さんの部屋に閉じこめられた
瑞希···助けて
声ききたいよ
私は菅さんと共にベッドにいた
菅さんがリビングに行く瞬間、菅さんの携帯を取る
電話番号おぼえてない
どうしよう
迷った挙げ句に家電にかけた
瑞希出てよ
「はい」
「瑞希、助けて」
「はっ?」
「はあ?じゃない
ご主人さまのピンチなの」
「声でかい」
「とにかく場所を言うから来て」
「俺でいいの?無視したくせに
俺がどれだけ心配したかわかる?
俺からの着信無視しまくった癖に」
「もうあとでちゃんと話すからねっ?」
「知らないよどんなことになっても」
まさか瑞希キレてる?
電話がきれたのと菅さんが入ってきたのは同時で慌ててスマホを隠した
「なにしてた?」
「んんなんでもない」
瑞希、早く来て
私の願いはすぐに叶ってしまった
ガチャガチャというドアノブの音
「まったく誰だい」
開けちゃダメと思いながらも言えずドアが開かれた
「宅配便です」
低い声
ほっと胸をなでおろしたのも束の間
パリンという音が玄関からする
一瞬わからなかったけど何かを投げたのだ
そして玄関脇の鏡が割れた
「何をする」
「何もしてねぇよおっさん」
この声まさか瑞希?!
「瑞希」
ぎろりと睨みつけられる
「楽しかったか?」
瑞希は押し倒した菅さんの上に座りながらニヤリと笑う
「菅さん」
「まったくおまえはどっちなんだよ」
「警察を呼ぶぞ」
「勝手にしろよ
ヤタガラスの名前でもだしてせいぜい楽しみな
だって俺は橘瑞希じゃないんだからな」
えっ···
瑞希じゃない
どういうことなの?
「じゃあ」
「察せよ少しくらい
俺は橘瑞希じゃない
橘瑞希なら三年前に死んだよ
瑞希は俺の親友だ」
「ウソだ」
「はーめんどくせぇな」
なんて呼んでいいかわからないその人は悠然と立ちあがると財布から免許証を投げる
倉橋律···まったく違う名前があった
「···」
「わかったろ
つーかいつまで呆けてんだよおまえも」
「あっ···うん」