恋する歌舞伎
楓の夫・春彦は偶然、頼家公の夜討ちの密談を木陰から聞いていた。
急いで頼家の家臣にこのことを伝えに行くが、そのとき敵の軍勢が打ちかかってくる!
「御在所に夜討ちがかけられた」という情報を聞き、家で夫と姉の安否を心配する楓。
やがて春彦は帰ってきたが、頼家や桂たちの安否はわからないとのこと。
しかし悪い予感は的中し、桂が手負いで帰ってくる。
しかも不思議なことに、桂は夜叉王が打った面をつけた姿であった。
桂は頼家にそっくりなこの面をつけることで身替りとなり、敵の目を欺こうとしたのだ。
虫の息となった姉を泣きながら介抱する楓。
しかし父の夜叉王は、動揺をみせず、娘の死に際に
「姉も定めて本望であろう。父もまた本望じゃ」
と意外なことを言う。
そして
「自分が打った面に死相が現れていたのは、頼家の運命を予言していたのだ!」
と、神がかった己の才能に陶酔する。
そればかりか
「面の下に現れた若い娘の断末魔を、後の手本として残したい」
と、スケッチを始める・・・。
異常なまでの芸術への執着心が、父性も正常な判断をも消し去ってしまったのだろうか。
魂を抜き取られたかのように、瀕死の娘の顔を描き続ける夜叉王なのであった。
急いで頼家の家臣にこのことを伝えに行くが、そのとき敵の軍勢が打ちかかってくる!
「御在所に夜討ちがかけられた」という情報を聞き、家で夫と姉の安否を心配する楓。
やがて春彦は帰ってきたが、頼家や桂たちの安否はわからないとのこと。
しかし悪い予感は的中し、桂が手負いで帰ってくる。
しかも不思議なことに、桂は夜叉王が打った面をつけた姿であった。
桂は頼家にそっくりなこの面をつけることで身替りとなり、敵の目を欺こうとしたのだ。
虫の息となった姉を泣きながら介抱する楓。
しかし父の夜叉王は、動揺をみせず、娘の死に際に
「姉も定めて本望であろう。父もまた本望じゃ」
と意外なことを言う。
そして
「自分が打った面に死相が現れていたのは、頼家の運命を予言していたのだ!」
と、神がかった己の才能に陶酔する。
そればかりか
「面の下に現れた若い娘の断末魔を、後の手本として残したい」
と、スケッチを始める・・・。
異常なまでの芸術への執着心が、父性も正常な判断をも消し去ってしまったのだろうか。
魂を抜き取られたかのように、瀕死の娘の顔を描き続ける夜叉王なのであった。