恋する歌舞伎
ここはのどかな村。酒屋の娘でちょっとおませな女の子・お三輪は、隣に越してきた美男子・求女(もとめ)君と付き合いたてほやほや。

どこかミステリアスで、優しい彼にお三輪はぞっこん。

ところが求女の家には毎晩、美しい女性が通っているという噂を耳にしてしまう!


もしかして付き合っていると思ってるのは自分だけ・・・? 

複雑な乙女心。

と、そこへタイミングよく求女の家から噂の美女が出てきたことで三角関係が発覚、もれなく修羅場に。

両者譲らず、ついには夜が明けそうになる。慌てて帰ろうとする美女だが、実は求女もこの子の素性を知らない。

今日こそ正体を突き止めようと、求女は彼女の振り袖に赤い苧環(おだまき※)の糸を縫いつけて追いかける。

お三輪も逃してなるものかと、求女に白い糸をつけ後を追う。

ところがお三輪の糸だけ途中で切れ、二人とはぐれてしまうのだった。


※つむいだ麻糸を四角い木枠に巻き付けた糸巻きのこと


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