恋する歌舞伎
御殿の入口には、いかにも意地悪そうな官女たちが待ち構えていた。

「高貴な人の結婚式があると聞いたので見学したい」と嘘をついて入ろうとするも、官女たちはお見通し。

無知な娘をからかってやろうと、お酌の仕方を教えるふりをして罵倒したり、田舎の歌を歌わせたりと、散々な目に合わせる。求女に会うため・・・と必死に耐えるお三輪だが、結局は「そんな約束をしていない」と置き去りにされてしまう。

恥をかかされた挙句、奥からは求女と橘姫の結婚を祝う声まで聞こえてくる。


嫉妬が最高地点に達し、御殿に乗り込もうとするお三輪。

すると見ず知らずの男に、突如、刀で刺されるというとんでもない展開に!

男(実は淡海の父・鎌足の使者)がいうには、蘇我入鹿を倒すには、疑着(※)の相が出ている女の生血が必要で、お三輪が今、まさにその状態だったために殺したのだという。


※嫉妬心が極度に高まり疑い、執着すること


< 19 / 135 >

この作品をシェア

pagetop