恋する歌舞伎
ことの起こりは次郎左衛門と八ッ橋の身請け(※)話がまとまったことに始まる。

権八はこれを聞きつけ、大金が入ると見込んで店の主人に無心をするが、ぴしゃりと断られてしまう。

その腹いせにと権八は恋人の栄之丞を訪ね「八ッ橋は貴方に見切りをつけて金持ちの商人に身請けをされる気ですよ」と告げ口をする。

その言葉を信じて頭に血が上った栄之丞は、八ッ橋の気持ちを確かめるために廓に向かうのだった。


お金のために身請けは断れないものの、栄之丞とも別れたくないと思っていた八ッ橋だが、その矢先に恋人が乗り込んできて、この裏切り者!と罵声をあびせられる。

必死に誤解を解こうとする八ッ橋だが「本当にオレのことが好きなら公衆の面前でその商人と縁切りをしろ」と無理難題を突きつけられるのだった。


(※)身請け・・・残りの年季を払って廓稼業から足を洗わせ、引き取ること



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