恋する歌舞伎
好きな人に身請けされ、幸せを噛み締める梅川。

ところが忠兵衛と2人きりになったとき、公金に手をつけてしまったからには死罪は免れないことを告げられた挙げ句「一緒に死んでくれ」と懇願される。

天国から地獄へと突き落とされた心持ちの梅川だが、これも愛する忠兵衛が、もとは自分が原因でやったこと。

「死んでくれとはもったいない。礼を言って死にますよ」と運命を受け入れる。

本当ならば2人で死ぬより、2人で生きたかったであろう彼女の哀しみは計り知れない。

この後、残された時間とお金を使って愛の逃避行劇が始まる。

遊女として生きてきて、やっと幸せのスタートラインに立ったのも束の間、自由の道は死への道なのだった。




(監修・文/関亜弓 イラスト/カマタミワ)
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