恋する歌舞伎
主な登場人物は浪人・平太郎(へいたろう)とその妻・お柳(りゅう)。

二人の出会いは、さかのぼること5年前。

紀州熊野の谷間で、偉い武士が放った鷹の足緒(※)が、一本の柳の木に絡まり動けなくなってしまう。

しかしその柳の木はあまりにも高く、誰も登って取ることができない。

とうとう武士は力ずくでと、その柳の木を切ることにした。

そこへ通りかかったのが平太郎。

事情を聞き、どうにか切らずに済む方法ないものかと思案し、「弓矢で縄だけを切ってみせます」と宣言する。

そんなこと出来るはずがないと笑われたものの、矢は枝にからまっている足緒に見事命中。

鷹は無事に柳の枝から放たれ、柳の木も切られずに済んだのだった。

そこへ陰で様子を見ていたという茶屋の娘・お”柳”が現れる。

彼女は柳の木を守ってくれたことに礼を言い、話をするうちに「一人身なら結婚してほしい」とまさかの逆プロポーズにまで発展する。

突然のことに驚く平太郎だが、これも何かの縁とその場で祝儀の杯を交わすのだった。


※鷹狩に使う紐のようなもの
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