恋する歌舞伎
自らへの暴力に怒るどころか「あっぱれ忠臣!」と誉め称える常盤御前。

源氏への厚い忠誠心があることが確認できたと、真実を話し出す。

平家に義朝を討ち取られた際、常盤御前も必死に逃げたが清盛に見つかってしまい、子供、つまり後の義経たちもろとも殺されるはずだった。

が、清盛に身を捧げれば子の命を助けるという残酷な交渉をされ、泣く泣くその道を選んだのだった。

夫を殺した男と枕を交わすのは「毒蛇の鱗に巻かれるような」心持ちだったと告白する常盤御前。

話を聞いて二人は心を痛めるが、「その心がありながらなぜ毎日楊弓遊びに興じているのか」と鬼次郎が問いつめる。

すると的と見せかけているその下には清盛の絵姿が!

こうして平家調伏のため、毎晩丑の刻に祈っているのだという。

真実を知った二人は、今までの無礼を詫びる。

と、三人が悲しみに暮れているところへ「常盤御前の秘密を聞いたぞ!」と、声が聞こえてきた。
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