恋する歌舞伎
小野家の息女・錦の前(にしきのまえ)は文屋豊秀との婚約が決まっている。

しかしこの縁談、姫が病気になったという連絡が小野家よりあったために延期になり、その後音沙汰がない。

訝しく思った文屋家は、粂寺弾正(くめでらだんじょう)という使者を小野家の館に送って、様子を伺うことにする。

小野家に着き、真相を探るため錦の前に直接お目にかかりたいと申し出る弾正。

するとそこには頭からベールのようなものを被った、暗い面持ちの姫がいた。

なんでも、患っているのは「薄衣を取ると姫の黒髪が逆立つ」という原因不明の奇病なのだそう。

こんな状態ではとても縁談は進められないと、悩んでいるのだ。

弾正は探偵よろしくトリックを暴くことになり、まずは館の主の到着を待つことにする。
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