恋する歌舞伎
又平はいつも、おとくを自分の声代わりとして頼ってきたが、今このチャンスを逃してなるものかと、どもりながらも、必死で「自分が助けに行く」と将監に伝える。

しかし勇気を振り絞った結果も虚しく、出過ぎたことをと聞き入れてもらえない。

「ここまで拒絶されてしまっては、もう自分は死ぬしかない」とあきらめる又平。

一部始終をみていたおとくは、夫の気持ちを汲んで、それなら今生最後にと、自画像を残して自害するようすすめる。

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