恋する歌舞伎
又平は死を覚悟し、石塔代わりにと、庭の手水鉢に自画像を描くその筆に魂を込める。

するとその一念が通じたのか、摩訶不思議な現象が起こる。

なんと裏側に描いた自画像が、手水鉢を通り抜け表側にくっきりと現れたのだ!

それを見た将監は、奇跡を起こす又平の筆の力を認め、姫を救出する任務を与えるとともに、土佐の名字も許したのだった。

最後に「姫を助けに行った際、敵方からの問答に答えられるか」と確認する将監に、又平はそれなら安心をと、謡を披露する。

つまり舞の調子にのるとスラスラと言葉が出るというのである。

一同を安心させ、おとくを伴い姫を救うべく、意気揚々と出発する又平夫婦なのだった。

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