恋する歌舞伎
舞台は京都にある老舗の呉服屋・帯屋。

長右衛門(ちょうえもん)は、五歳の時にこの家の養子となり妻のお絹(きぬ)と店を切り盛りしている。

長右衛門にとって養父である繁斎(はんさい)は隠居しているものの存命で、長右衛門はこの繁斎の後妻であるおとせと、その連れ子の儀兵衛(ぎへい)に悩まされている。

強欲なおとせは元々この家の奉公人であったが、義母となった今は何とかして長右衛門を追い出し、この店を乗っ取ろうと企んでいるのだ。

そのため日頃から何かにつけて辛くあたる上に、長右衛門を陥れる機会を狙っている。

そんなある日、おとせ親子から
「先日受け取ったはずの為替の金が店に入っていない」と迫られ、
更に「長さま参る、お半より」という、女性が書いたであろう手紙を出してこれは何かと問い詰められる。


< 97 / 135 >

この作品をシェア

pagetop