人魚がいた夏-第1部-

今の気持ちを持っている俺はなぜか自分で誇らしくも思えた。


夜の島は、やっぱり少し肌寒い。

でも、空気が俺の肌にと溶けていくような感覚だ。






草むらをかきわける。


俺たちの作った道を。



風が俺を包む。

まとわりついて、俺の体をあっためるように。


そして、
俺が逃げ出さないようにと。





最後の草を手で掻き分けた。







< 101 / 113 >

この作品をシェア

pagetop