人魚がいた夏-第1部-


胸に届いた、波音の渾身の想い。


波音に好きといわれてから、ずっと見てきたその姿。


懸命に俺に届くように叫んでいた。




知ってるよ。


お前が俺のことを好きなこと。


お前うぬぼれんなって言ううかもしれないよな。



だけど


俺も好きなんだ。





波音をだきしめたい。



そんな切な願いが体を駆け巡る。



かさり。




右足を1歩前に出す。



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