人魚がいた夏-第1部-

それで、いぃんだよな..?


満月を見上げる。


俺のからだの中におさまってしまう波音が、愛しくてしょうがなかった。




とめられなかった鼓動が更に早くなる。





時間がとまればいい。

このまま、ずっと。






でも、時間はとまらなかった。




「陸、やめよっ」



ふいに波音に体を押し返された。



体がいっきに冷めていく。



なんでだよ?なぁ波音。





「ねぇ...」



波音がか細い声をだす。


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