人魚がいた夏-第1部-
「なんで?
なんでこんなことしたのっ?
りっ陸には雫がいるじゃ、ないっっ」
波音の体が倒れそうになった。
波音はしゃがみこんで砂浜に手を着く。
支えようとした手が宙をまった。
波音がないている。
それでも波音は小さなか細い、でも女の声で話し続けた。
「雫を、抱いたんでしょ?
なんでよっ
なんでこういう期待させることするの?
私の気持ち知ってるくせに...」
は?
なんだよそれ...
反論しようと想ったけど、今はそれどころじゃなく
伝えたい思いのほうが強い。
雫の涙で砂浜の色がかわっていく。
沈黙の時間がすぎた。
俺は動伝えればいいんだろう?
と1人考えてた。
ようやく
「波音」
と声をしぼりだす。