人魚がいた夏-第1部-
黒明の音<BY*波音>
「じゃぁな、波音。
気ぃ付けて帰れよ。」
柊と手を振って自転車小屋で別れる。
いつもの陸と私の...
いや、陸の自転車がない事が私の心を寂しくさせる。
「陸-私家まで歩いて帰ればいいのー!?」
誰もいない自転車小屋に、1人で虚しく叫ぶ。
私の指定席なんて、勝手に想ってた私が馬鹿だったんだ...。
頭の中から雫の笑った顔が消えてくれない。
雫は...
雫はきっと
陸を私から奪っていく。